【プロフィール】
名前 : 黛純太(Junta Mayuzumi)
所属 : 株式会社neconote
URL :https://www.neco-note.com/
経歴 : 株式会社neconote 代表取締役。保護猫業界の”自続可能性”を高めるため、保護猫団体と協力して企業のCSVをサポート。譲渡会プロデュース、保護猫団体の新規事業支援やPPP支援、保護猫共同住宅の企画運営など。保護猫シェルターに住込経験あり。
~インタビュー本編~
事業内容を教えてください。
新しい家族を探している保護猫たちと、猫好きのユーザーをつなぐマッチングプラットフォーム、「neco-note」を運営しています。全国の保護猫団体が自分たちのもとに来た保護猫を登録し、猫好きのユーザーがneco-noteを訪れ投げ銭やファンクラブに加入することができます。保護猫たちとの時間を楽しみながら、新しい家族が見つかるまでの過程を推し活という形で継続的に応援するサービスになっています。
起業をするに至った背景はなんですか?
生まれたころから猫が近くにいる環境で育ってきて、猫の保護活動で生きていこうと就活の時期から決めました。サラリーマンの時代を経てどういった保護活動ができるか少しずつ模索して自分なりに可能性が見つかったので起業するという手段を取ることにしました。
どういった経緯でその可能性を見出しましたか?
もともと僕は保護猫シェルターで2年間住みこんでいた時期がありました。週に1回程度保護猫の様子をインスタライブで配信し、フォロワーさんから投げ銭などを受け取っていました。そのライブを続けていくうちに時給換算で1万円ほど受け取れるようになっていったことが、事業のアイデアになりました。
時給1万円ですか、正直うらやましいです。
そうですよね(笑)。でもやっぱりライブでの投げ銭は1時間の中で波がありました。どういう時に波が生まれるのか、どんな時に多く視聴者さんから投げ銭を頂けるのかを分析していった結果、保護猫が持っているストーリーに共感をして投げ銭が発生していることに気が付きました。保護猫団体がとしてお金を募るのではなく、猫が主役として呼びかけた方が、フォロワーの皆さんも応援しやすいと気が付いたんですよね。それが、猫の推し活という今のサービスの形になっていきました。
ライブ配信の様子。フォロワーが課金をすることで保護猫たちにおやつが届く。
保護猫の「ストーリー」というところに独自性が感じられますね。
独自性でもあり大きな魅力でもあると思っています。ペットショップの猫やブリーダーに育てられた猫もかわいいんですけど、ストーリーといった点ではその子たちは語れることが少ないんですよね。関わってきた人たちや様々な環境で生き抜いてきた経験が保護猫たちならではのストーリー性につながっています。自分はそこに魅力を感じているので保護猫に特化したサービスを展開しています。
NSSで得られたものはなんですか。
まずは長野市さんとつながれたことです。長野市と協力しながら今後は長野支社を作ろうと話が進んでいます。市のイノベーション推進課の手も借りて長野市内での保護猫団体の課題解決に向けて活動がしやすくなったというのは自分にとって大きな収穫でした。もう1つはメンターの方々によるメンタリングは非常に学びの多いものでした。サービス全体の理想像と現実のギャップは何かを細かく分解して捉え、限られた時間と予算で何を検証していくのかをメンターの方々は共に考えてくれたのでノウハウという知的財産が貯まっていったのがすごく大きかったです。
起業する前と後で「起業」のイメージは変わりましたか。
これだけで起業終わりなんだと当時は思っていました。大変なのはそのあとの計画通り事業を遂行するといった方なので、起業は何かを成し遂げるための手段として捉えて実現したいことに脳のリソースを割いていった方がいいんじゃないかと思います。起業そのものは憧れの対象にもならないほど簡単だと思います。
今後の事業の展望を教えてください。
今後は、今まで小さく検証してきたことをさらに広く追及していきます。。より多くの保護猫団体にneco-noteを使っていただくよう新規営業をすることや、検証によって保護猫団体と里親たちとのたちとの交流イベントにニーズがあることが分かったので、推し活に留まらない価値提案をさせていただきたいです。
起業を検討しているこの記事の読者にアドバイスをお願いします。
1つは起業することは気負うことではないので、起業したいならぜひトライしてみてください。それと同時に本当にしたいことが起業なのか深く考えてみてほしいです。なぜかと言えばよく言われているように、しんどいことの方が多いので事業を続けるにはがむしゃらさや夢中になっている感覚が必要です。誰かに指示されることはほとんどなく自分で自分を追い込んでいく日々の中で、なぜこの事業をやっているのかという根本的な部分に立ち戻ることになります。本当に好きでやっていないと、サラリーマンの方が楽だなと志が折れてしまうんですよね。気軽に起業するフットワークと、志が折れない事業だという確信を持つこと。この2つをアドバイスさせていただきたいです。