【プロフィール】
名前:成澤由美子
所属:株式会社エルズグランドケアアカデミー
URL:https://feminityarchworklounge.com/
経歴:大手エステサロンにて美容カウンセラーとしてキャリアをスタート。エリアマネージャーやフランチャイズ運営を経験し、2004年に長野へ移住。その後大手スポーツクラブ内の併設サロンや新規エステサロンの立ち上げを20店舗以上関わり、2015年に美容サロンコンサルティング・スクール業として株式会社エルズグランドケアアカデミーを立ち上げ起業。
コロナ禍をきっかけにフェムテック産業に事業転換し2020年春からフェムテック市場へ参入、21年日本初のフェムテックフランチャイザーとして全国38店舗のフェムテックサロン・の立ち上げ、開業を支援。現在は市内直営店舗を運営しフェムテックを活用した併設型サロンの新しいビジネスモデルを構築中。
〜インタビュー本編〜
この事業を行うに至った原点
今まで出会ったクライアント様が今回の事業の原点です。エステサロンのお客様は比較的ハイキャリアの女性の方が多く、家事や育児をこなしながら仕事もバリバリこなすミドル世代の独立された女性が多いです。会社経営者や個人事業主、フリーランス、形は様々ですが、皆様日々ご自身のビジネスに邁進される方々です。そういった女性は忙しい日々の中で自身の健康を後回しにする傾向があり、私達は身体のケアをしている中で、実は月経痛やPMS.更年期障害などのケアなど「健康のおせっかい」をさせて頂く機会があります。
企業に属していない、個人事業主やフリーランスの女性は福利厚生がないので健康診断やセルフチェックなどの機会が少なく、知らずに無理をしている方が多いです。そういった女性が身体的に少しでも不安になった時、気軽に相談にのれたり、病院へ行く後押しをする「健康のおせっかい」をしてくれる人って他にいないと思うのです。
「成澤さんがそこまで言うから病院行って来たら、○○が見つかったよ!早期にわかったからすぐに解決出来て本当によかった!」
こんなやりとりを何度も経験するうちに、ある時これをしっかりとした仕組みに出来ないか、ニーズもあるし、自分ならこれが出来る、そう思ったことがこの事業の原点です。
ビジネスを行う転機
起業/開業支援をさせて頂くようになり、ここ最近のヘルスケア市場の中ではフェムテックの活用が推進されており、より支援を加速する必要があると感じています。
フェムテックの流行が押し寄せた際に思ったのは、「これって自分達が以前から当たり前のようにやってきたことだな」という事と「テック(テクノロジー)が先走っているな」と言う二つの感覚でした。なので、私達はまずはサロンのオーナーに「テック(テクノロジー)」を知ってもらうことに重点を置いてビジネスをしようと考えました。
それが、美容室やエステサロンなどの女性のケアを行っているサロンオーナーの方々への啓蒙事業です。普段女性のケアを行っている方がフェムテックを理解してもらえば、実際にサロンを利用する女性に正しいフェムテックの活用方法が伝わります。
最近は、女性の年齢に合わせた働き方を理解し、福利厚生としてフェムテック関連サービスを利用する企業も増えてきていますが、実はそれを活用する女性達のヘルスリテラシーが低いとなにも効果が出ません。それらをまず理解してもらうセミナーやカウンセリングがまず必要だと思っています。それがいつも通っているサロンの「健康のおせっかい」です。
長野スタートアップスタジオを通じて得られたこと
NSSの最初のイベントの話しをきいた時、ちょうど事業再構築補助金に採択され、この事業をやってみようと色々準備を進めていたところでした。せっかくなら、もう一つ挑戦しようと思い、NSSに参加させて頂きました。
NSSは今まで私がいたところとは良い意味で違っていて、自分が学生の人達に混ざって一から勉強しなおし、ダメ出しされるなんて想像もしてなかったです!(笑)
そんな新鮮な自分が面白かったことも良い発見の一つでしたが、実はNSSで学んだことは大きくて、今もその考え方を参考にさせていただきながら事業を進めています。
1つ目は、小さく検証すること。補助金や銀行借入を利用して、まとまったお金を使うやり方も良いのですが、小さく試してみて分析する、それでダメだったらやり方を変えればい良い、と考えられるようになりました。
2つ目は感覚的にやっていた自分の経営を、別の視点での指摘、アドバイス、壁打ちをしてくれたことで得られた発見です。経営者として8年もやっているとまわりに反論してくれる人がいなくなり、いいんじゃない?で終わってしまうことってけっこうあるんです。それを真っ向から自分にぶつかってくれる人がいる、と言うのは経営者として非常にありがたいです。
最後は、2つ目と重なることもありますが、利害関係のない方達に相談が出来ること。自身の事業とまったか関わりがない方に相談する事ができ素直に意見を飲み込む事ができるので新しい発見が多くあります。NSSにはスタートアップ界隈の関係者がたくさんいます。彼らはビジネスをいかに大きくして、顧客の課題を解決するかに長けている方々。そういった方の意見を聞くことで私自身の考え方も、「目の前のお客様の悩みを解決する」から「すべての女性の社会問題への解決」と言う、より発展的な考え方に変わっていきました。
Feminity arch Work Loungeとは
「ラウンジ」の言葉には、実はこだわりがあります。従来のコワーキングスペースは、今までサロンで相対していた方々がそのまま使うには使い勝手がよくないのです。そういった方々向けに作られていない。
なので、私達が提供する「Feminity arch Work Lounge」は、女性がケアを受けて、そのまま自分らしく働ける、読書や気分転換だけでも利用できるようなそんな女性専用のコワーキングラウンジを目指しています。また、ラウンジの中で多様なバックグランドを持つ女性が集まって出来上がる新しいビジネスの繋がりや機会、こういったものが自然と出来上がるような場所が
Feminity arch Work Loungeです。
今後の事業展望
今は個人向けのサービス展開がメインですが、将来的には法人向けのサポートも行っていきたいと考えています。今の時代、多くの企業の社長が女性の働き方を考えています。いつでも行けるサテライトオフィス、理由は問わない休暇制度。
企業側としては、柔軟な働き方を支援したい気持ちがある一方で、代わりの人材がいない状況下では何も手が打てないのが現状です。また、他の社員に仕事の皺寄せがいってしまうことも悩みの種です。ですので、私達は将来的に全国のフランチャイズのラウンジ会員の方々で仕事をシェア出来るような体制を構築することを目指しています。高いスキルを持った方々に会員になって頂ければ、それだけ私達が提供する価値が上がると考えています。
企業が気兼ねなく女性社員を休ませてあげれるように私達が企業に対して一時的にでも代わりのスキルを提供するサービスを構築できたら体調が悪い女性向けの解決策と休ませてあげたい企業向けの解決策が合わさり「想い合える社会の実現」が可能になります。
将来的にはそれをこの事業で目指していきたいです。