【プロフィール】

宮澤 留以/Rui Miyazawa
株式会社sci-bone 代表取締役
スポーツエンジニア

*参考URL:https://sci-bone.com/

1994 長野県飯田市生まれ
2017    信州大学 繊維学部卒業
2019    信州大学院総合理工学研究科 繊維学部専攻 修了
2019   国内大手繊維メーカー入社
2021   ハードウェアスタートアップ入社
2022   株式会社sci-bone創業

 

■NSSで取り組む事業:ウェアラブルデバイスの研究開発、モーションデータ解析

■解決する課題:誰でも運動ができるようになる世界の実現

 

今取り組まれている事業内容を教えてください

「誰でも運動ができるようになる世界の実現」をビジョンに掲げ、ウェアラブルデバイスの開発、デバイスの振動制御モデルの構築を行っています。既存のウェアラブルデバイスは、モーションデータを計測することで課題の可視化はできますが、動作フォローまではカバーしていないものが多いんです。私たちはそこからさらに進化し、振動を使って感覚的に正しい動きを習得できる”着る運動神経デバイス”の上市を目指し、日々研究開発を行っています。

この事業を思い立ったのはいつ頃ですか?

信州大学・大学院在学時に、スポーツウェアの研究開発をしていた頃です。卒業後、繊維メーカーに入社、新規事業部に所属し、ウェアラブルデバイスの開発や特許出願などをやっていました。ただ、研究開発に投資した金額を回収できない可能性があればリスクと判断されるため、既存企業でこの事業を立ち上げるのは難しいと感じ起業を考え始めました。その後、ウェアラブルのスタートアップに転職し、決定権やスピード感の違い、一人一人が担当する業務の幅広さなど、既存企業との違いを肌で感じながら、起業への準備を進めていきました。

メインのユーザーはどんな人達を想定していますか?

タイムの向上を目指すランナーや、健康に歩き続けたい中高齢者を考えています。特に長野県と私たちの事業との相性の良さを感じています。

長野県との相性の良さとは、どういったことでしょう?

大きく3点あります。1点目は、長野県の抱える健康寿命の課題です。長野県は男女ともに平均寿命が長いことで有名ですが、健康に長生きするためには平均寿命と健康寿命の差(不健康期間)をなるべく短くする必要があり、私たちのデバイスが役立てられると考えています。2点目は、長野県の健康・スポーツ推進活動に対する意識の高さです。自治体と連携することで、現場への導入がスムーズに行えると考えています。3点目は、信州大学繊維学部との連携のしやすさです。以前から企業と連携し実証実験を積極的に受け入れている土壌があります。開発には試行回数をいかに回せるかがポイントになってきます。自治体や大学と連携することで、2024年の上市目標を実現していきたいです。

データは他にどのように活用できそうでしょうか?

歩行のクセや左右差などから病気の発見などが期待できます。高齢者の医療費が年間で100万円以上かかっているという調査もありますが、その内、1%でも歩行改善の観点からアプローチして医療費を抑えることができれば、さらなる価値を届けられるのではないかと考えています。

ご自身も陸上選手でしたが、開発のモチベーションにつながっているご経験はありますか?

全日本大学駅伝の出場経験があるんですが、その時トップ選手との実力差に圧倒されたのがモチベーションにつながっています。このデバイスを通してフォーム改善ができ、パフォーマンス向上やケガの防止に貢献できれば、トップ選手との差が埋まるのではと考えています。最近ではメジャーリーガーの大谷翔平選手も、投球数のコントロールや体にかかる負荷を可視化するための故障予防用デバイスを着用しており、ウェアラブルデバイスの活用場面が増えてきました。大学や高校の部活など、幅広く活用していただけるように頑張っていきます。

例えば、このデバイスを使うことで運動が苦手な子どもの悩みも解消できるでしょうか?

僕自身、実は運動が苦手だったんです…。小学校時代は、体育の授業で逆上がりができず居残りさせられるほどでした。信州大学の繊維学部を選び、スポーツウェアの開発をしたいと思ったのもそういったことがきっかけです。「誰でも運動ができるようになる世界の実現」というビジョンに向けて、子どもの運動に関する悩みも解消していけたらと夢は膨らむばかりです。

NSSに期待するものは何でしょうか?

現在は自己資金をメインで行っていますが、研究開発費はこれからも必要になってきます。私たちの事業の価値を感じてもらい、資金調達を行うのは目指すゴールの一つです。また、NSSに参加することで、小さな試行回数を多く回せそうなのもとても楽しみです。参加メンバーの方々に様々な部分でフィードバックをいただきたいと考えています。前回のピッチは、急遽参加を決めたことで会場に足を運べなかったんです。次回はぜひ会場で、オーディエンスの熱量を感じ、参加する方々の生の声を沢山お聴きしたいです!

 

以上、ありがとうございました!今後も、NSS会員の皆様の取り組みをご紹介していきます。